『野鳥と私たちの暮らし』

中村  浩志/著 2024年10月10日 初版第1刷発行 ISBN978-4-902443-77-6 C0045 1,900円(税別) ※書店、Amazon、honto、楽天ブックス等でお買い求めいただけます。

本の沿革

 2021年4月から2024年3月の3年間にわたり月間新聞モルゲン(後のモルゲンWEB)に連載した計33回の鳥のエッセイを一冊の本にまとめ、ここに出版することができました。本書のタイトルは、連載のタイトルと同じ「野鳥と私たちの暮らし」にしました。本書では、2021年10月に同じ遊行社から出版した前著「野鳥の生活 森に棲む鳥」では取り上げなかった、私たちの周りの開けた環境に棲む鳥について主に取り上げました。また、私が現在調査と保護活動を行っている高山に棲むライチョウについても取り上げています。ライチョウは、私たちの生活圏からは離れた高山に棲む鳥で、私たちの生活からは最も縁遠い存在のように思われますが、日本の歴史と文化に密接な関係を持っている鳥であることが最近わかってきたからです。

 今回のシリーズで取り上げた鳥は、いずれも私たち日本人と長い間共存してきた日本文化とも深いかかわりを持ってきた鳥ばかりです。本書を手にしていただいた方には、身近な野鳥に一層関心を持っていただき、私たちと共に身近に生活している野鳥の生活について知って頂くこと通し、人間中心の考え方から自然と共存した生き方に少しでも目を向けていただけましたら幸いです。

も く じ

はじめに 14 

1章 耕作地に適応した鳥 草本の種子食に適応した鳥 カワラヒワ 20 小さな猛禽 モ ズ 26 身近な鳩 キジバト 32 カッコウの新たな宿主 オナガ 38 黄色い大きな嘴の鳥 イカル 44

2章 家屋に営巣し栄える鳥 人と密着して栄える スズメ 52 家屋に移り住んだ益鳥 ツバメ 58 繁華街に塒をとる ムクドリ 64 

3章 里山環境に適応した猛禽 里山の豊かさの指標 サシバ 72 人の生活に密着し、したたかに生きる鷹 ト ビ 78 都市部に進出した小型の猛禽 チョウゲンボウ 84 世界最速の鳥 ハヤブサ 90

4章 草原性鳥類 春の訪れを告げる身近な鳥 ヒバリ 98 身近な里の鳥 ホオジロ 104 喧しくさえずる鳥 オオヨシキリ 110 雷シギとも呼ばれる オオジシキ 116

5章 人里に棲みついたフクロウ類 森の賢者 フクロウ 124 神社に移り棲んだフクロウ  オバズク 130 虎斑模様のフクロウ トラフズク 136

6章 河川の水辺に棲む鳥 白黒鹿の子模様の鳥 ヤマセミ 144 浮巣を造る鳥 カイツブリ 150 最も身近なカモ カルガモ 156 漁業被害をもたらす黒い軍団 カワウ 162 砂礫地に営巣する コチドリ 168

7章 冬に訪れる鳥 冬の訪れを告げる ジョウビタキ 176 サルの顔のように赤い鳥 ベニマシコ 182 世界的に減少が懸念される鳥 カシラダカ 188 食用に捕獲された鳥 ツグミ 194 身近な冬鳥 アトリ 200

8章 高山に棲む鳥 ライチョウ 人を恐れない日本のライチョウ 208 日本のライチョウの現状と課題 214 卵を差し替える試み 220 中央アルプスライチョウ復活作戦 226

おわりに 232 主要参考文献 234

著者プロフィル 中村浩志  なかむら ひろし 1947年長野県生まれ。信州大学教育学部卒業。京都大学大学院博士課程修了。理学博士。信州大学教育学部助手、助教授を経て1992年より教授。専門は鳥類生態学。主な研究はカッコウの生態と進化に関する研究、ライチョウの生態に関する研究など。日本鳥学会元会長。2012年に信州大学を退職。名誉教授。現在は一般財団法人中村浩志国際鳥類研究所 代表理事。2021年には「第75回(公財)日本鳥類保護連盟常陸宮総裁賞」及び「第7回安藤忠雄文化財団賞」を受賞。著書に『甦れ、ブッポウソウ』(山と渓谷社)、『雷鳥が語りかけるもの』(山と渓谷社)、ライチョウを絶滅から守る』(共著・しなのき書房)など。最新刊は『野鳥の生活  森に棲む鳥』(遊行社)。

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